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基礎研究

脊髄虚血と麻薬の相互作用

 硬膜外モルヒネ投与が大動脈手術後の脊髄機能を悪化させたという臨床報告に端を発し、多くの動物実験を行っています。我々の研究結果から、脊髄虚血後にモルヒネをはじめとする麻薬を投与すると、脊髄運動神経の障害を助長するということが明らかとなりました。この研究結果から、いまでは脊髄虚血が発生する可能性のある大動脈手術では、麻薬の大量使用を避けなければならないということが全国に広がっています。現在は、その発生機序に関して、分子生物学的検討も含めて行っています。

参考文献

Anesth Analg 2002; 95: 1389-1395.  Anesthesiology 2003; 98: 862-870.
Anesth Analg 2003; 96: 769-775.  Anesth Analg 2004; 99: 1528-1531.
Anesth Analg 2005; 100: 327-334.  Anesth Analg 2006; 102: 1217-22.
Br J Anaesth 2006; 96: 88-94
(文部科学省研究補助金基盤研究C 16591551(平成16-18年度)、C 19591809(平成19-21年度))

胸部下行・胸腹部大動脈手術における脊髄機能モニタリング

 胸部下行・胸腹部大動脈手術症例において、大動脈から栄養されている臓器(腹腔内臓、腎臓、脊髄および下肢)虚血はその予後に影響を及ぼす因子となっている。この中でも、脊髄虚血による術後対麻痺は、この十数年間の基礎・臨床研究にもかかわらずいまだ解決できない大きな問題となっています。当科では、ラット脊髄虚血モデルを用い経頭蓋的運動誘発電位(tc-MEPs)をはじめとする脊髄機能モニタリングの基礎研究を行っています。われわれの一連の研究結果から、tc-MEPsが従来の感覚誘発電位(MEP)よりその感度および特異度が高いことが明らかとなりました。現在では、これらの結果を踏まえtc-MEPを臨床に応用し、良好な結果を得ています。

参考文献

J Thorac Cardiovasc Surg 2005; 129: 46-52. Eur Spine J 2007; 16: 787-93.
(文部科学省研究補助金基盤研究C 17591479(平成17-19年度))