沖縄麻酔科学情報ホーム > 臨床・研究 > 集中治療
当院のICUは、麻酔科が主体で行っています。部長(須加原教授)、副部長(徳嶺講師)、助手の全てが麻酔科で、日勤帯は、常時2名の麻酔科医(専門医以上)と研修医(後期研修)の3人体制で行っています。当直も麻酔科(専門医以上)だけのローテーションで行っています。ICUのベッド数は6床、年間の入室患者数は、325〜380人で、元々は外科の術後の患者が多かった(Surgical ICU)のですが、最近は、内科系疾患の患者も多く入室するようになりました。現在は、GICU(General Intensive Care)を目指し、急性期疾患あるいは慢性疾患の急性増悪症例を対象として治療を行っています。
診療形態は、Open ICUで、他科の主治医に協力して治療に当たっています。ご存知のように集中治療は、呼吸・循環・代謝などの重要臓器の急性臓器不全に対し、総合的・集中的に全身管理を行う医療です。主治医の治療に対し、集中治療部は、治療全体をsuperviseし、主治医に助言や補助を行います。特に、高機能人工呼吸器やNPPVなどによる適切な呼吸管理、PiCCO(経肺静脈的連続心拍量測定)による循環管理、さらに、急性血液浄化療法などを主体に治療を展開しています。
我々は、常に高いレベルの治療を提供するため、以下に示す事柄を中心におこなっています。
(1)呼吸管理:研修医や看護師に人工呼吸器の勉強会を定期的に行って医療従事者の診療・看護力の向上を図っています。学習項目は、「人工呼吸モード」と、基本的理学所見として「呼吸音の聴診」などです。実際に使用している人工呼吸器も多彩な機器を使用しています。特殊なモードとして、Adaptive support ventilation: ASVやProportional support ventilation: PAVなどを使用しています。研修医が、ICUの研修を通して、どのような人工呼吸器でも操作でき、個々の患者に最適な人工呼吸を行える知識と技術を身につけられるように配慮してあります。
(3)血液浄化療法:腎臓の代用器官としてだけでなく、多臓器不全の予防や治療として、ICU独自で血液浄化療法を行っています。スタッフを含め全員が血液浄化装置の回路を組み立てることができ、管理の全てを行っています。研修では、急性血液浄化の適応や臨床応用を体験することができます。
(4)超音波ガイド下中心静脈穿刺:集中治療を行う多くの患者では、ライン確保を確実に行うことが重要です。特に、DICや抗凝固療法を行っている患者では、動脈誤穿刺が致命的な合併症を引き起こすことがあります。また、ARDS患者で、多くのラインが挿入されている結果、鎖骨下静脈にラインをとらなければならなくなることも、しばしばあります。このような場合、超音波ガイド下に安全確実にラインを確保することで、いかなる状況でも躊躇・中断することなく円滑に治療を行っています。研修医は、内頚静脈や大腿静脈だけでなく、鎖骨下(正確には、鎖骨尾側腋窩)静脈のライン確確保を超音波ガイド下に行えるようになります。また、動脈圧ライン(A-line)の挿入にも、超音波ガイド下穿刺を行っています。
(5)超音波ガイド下神経ブロックによる鎮痛法:ICUの患者は、様々な理由で、術後鎮痛に用いられる硬膜外ブロックを受けられない場合があります。そのような患者でも、超音波ガイド下に肋間神経ブロックや腹直筋鞘ブロックを行うことができます。当ICUでは、モルヒネ持続静注法だけでなく、これらの神経ブロックを超音波ガイド下に行うことで、確実で効果的な除痛を行っています。
ICUでの研修のため、独自の研修マニュアルを作製しています。マニュアルの他にミニレクチャーも用意してあり、研修の合間の短い時間を利用して効果的に学習できるように配慮してあります。ICUの研修期間は、約2カ月と短いですが、多くの有益な知識と技術を習得できると考えています。