1. 10月30日 和泉先生担当

10月30日 和泉先生担当

最終更新日:2018年04月30日

抄読会

1: Kaya-Yasar Y, Karaman Y, Bozkurt TE, Onder SC, Sahin-Erdemli I. Effects of

intranasal treatment with slow (GYY4137) and rapid (NaHS) donors of hydrogen

sulfide in lipopolysaccharide-induced airway inflammation in mice. Pulm Pharmacol Ther. 2017 Aug;45:170-180. doi: 10.1016/j.pupt.2017.06.006. Epub 2017 Jun 20. PubMed PMID: 28645584.

 

マウスでのLPS処理による気道炎症のH2SドナーであるGYY4137NaHSによる鼻内治療の効果

 

【はじめに】

喘息やCOPDで気道の炎症と過敏性は重要な構成要素である

H2Sは生理学・病理学的に重要な効果を示すガス状の伝達物質でH2Sを合成する酵素が呼吸器系で発現しているH2Sの合成を阻害すると気道の過敏性を増悪させる。H2Sの呼吸器疾患での治療薬としての可能性がある。しかしH2Sは炎症促進や炎症抑制作用が報告されている。本研究ではGYY4137が気道の炎症や過敏性を改善するかを検討

 

【実験方法】作動薬・拮抗薬

20-25g female CD1 miceLPSで気道炎症を誘発、LPS投与48時間後に気管や肺を摘出し、作動薬・拮抗薬で処理

作動薬:Carbacol 5-Hydroxytryptamin (5-HT)

拮抗薬:Atropine (10-6 M)Ketanserin 5-HT2A アンタゴニスト (10-9 - 10-7 M) Alosetron 5-HT3 アンタゴニスト(10-8 ,10-7 M) GR113808 5-HT4 アンタゴニスト(10-7 ,10-6 M)

【評価項目】

1. 気管の反応性の評価

 carbacol, 5-HT, atropine, ketanserin, alosetron, GR113808

 Electrical field stimulation(EFS)

2. 気管支肺胞洗浄液の炎症性細胞

 LPS処理48時間後1mlPBS3回洗浄し白血球分画を測定

3. 気管支肺胞洗浄液のサイトカインレベル

 IL-β, TNF-a

4. 病理組織診断

5. 内因性のH2S産生の測定

 

【実験方法】H2Sドナーの効果

20-25g female CD1 miceLPSで気道炎症を誘発、1時間前にGYY4137またはNaHSを経鼻投与、LPS投与48時間後に気管や肺を単離摘出

20-25g female CD1 miceLPSで気道炎症を誘発、1時間前にGYY4137またはNaHSを経鼻投与、LPS投与48時間後に気管挿管しBAL

 

【結果と考察】

       マウスの気道でのLPS誘発炎症性変化に対するH2Sドナーの治療効果を評価

       LPSは炎症反応を引き起こす免疫系の強力な引き金である

       カルバコールはC群とL群で気管の反応に変化なし

       セロトニンはL群で気管の収縮反応を増強した

       LPSはムスカリン受容体を介さず、5-HT受容体を介して気道過敏性を引き起こす

       セロトニンはマウスやラットでアレルギー反応中にマスト細胞から放出され、呼吸器で重要な役割を果たす

       セロトニンの気管収縮は平滑筋での直接作用以外に、コリン作動性神経終末におけるプレシナプスの5-HT 受容体を介したアセチルコリン放出による間接的作用による

       LPSによる気道炎症はセロトニンによる気管収縮反応を増強

 → 5-HT2A , 5-HT3を介するアセチルコリンの放出による

 → 5-HT4は介していない

       BAL液中の好中球を増加し肺実質の炎症を起こす

 →LPSは、マクロファージや上皮細胞に位置するCD14を介してTNF-aや、IL-1b

いったサイトカインを放出し、好中球性炎症を確立する

       GYY4137およびNaHS処理でBAL液中の好中球を減少させた

       GYY4137およびNaHS処理でBAL液中のIL-1bを減少させた

       GYY4137およびNaHS処理でBAL液中のTNF-aは変化なし

       NaHSは肺実質の炎症を減少させた GYY4137は変化なし

 

       この差は異なるH2S放出パターンに起因する可能性がある

       H2Sドナーは局所投与の利点を有する炎症性気道疾患の治療における有望な物質である

       H2Sの生成速度が重要な問題と思われるので、GYY4137などの新しい物質の開発は、 H2Sの治療可能性を研究するのに有用であろう

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