1. 11月20日 新垣裕太先生担当

11月20日 新垣裕太先生担当

最終更新日:2018年05月06日

抄読会

Sevoflurane Relieves Lung Function Deterioration
After Cardiopulmonary Bypass
Journal of cardiothoracic and vascular anesthesia.
2017 December ;31(6):2017-2026.
 
<Introduction>
吸入麻酔薬は、気道平滑筋の弛緩作用を有し、肺に複合的な作用をもたらす。周術期における気管支収縮の誘引として心臓手術中に適用される人工心肺(CPB)がある。CPBによって誘発される有害な肺の変化に対するセボフルランの治療可能性について検討した。
 
<Methods>
2014年9月から2015年11月の間に心臓手術を受けた190人の患者を対象とした前向き無作為化臨床試験。患者はセボフルラン群(SEV)または対照群(CTRL)に無作為に割り付けられ、CPBおよびセボフルランによる気道および組織の機械的特性の変化を肺の低周波強制振動入力インピーダンスを測定することによって評価した。インピーダンスは気管支の流速抵抗(Raw)、イナーダンス(Iaw)、減衰係数(G)、エラスタンス(H)の四つのパラメーターから測定された。呼気のCO2分圧の変化をカプノグラフで測定し、血液ガス検査からP/F比およびPa-ETCO2を算出。Berggren方程式を用いて肺内シャントを測定した。
SEV群はCPB離脱後に1MACのセボフルランを5分間投与され、他群は静脈麻酔で維持され、それぞれ、CPB前、CPB後、介入後にパラメータを測定した。
 
<Result>
CPBによりRawは著しく上昇し、Iawは低下した。セボフルランによりRawは顕著に低下した。カプノグラムの第Ⅲ相は両方の群でCPB後に有意に顕著な増加を示したが、セボフルランにより低下。P/F比、シャント率、Pa-ETCO2は両群有意差なし。セボフルランによりCPBによるP/F比の低下は改善した。セボフルラン投与後のP/F比とその変化との間に統計的な有意差は認められなかったが、Pa-ETCO2との間には強い負の相関が認められた。
 
<Discussion>
体外循環によって誘発された肺機能の有害な変化を逆転させるセボフルランの効果を実証した。セボフルランの投与はほぼ全ての患者において顕著な気道拡張をもたらし、その結果、人工心肺後の肺機能が改善された。CPB後に重度の気管支収縮が発生する可能性が高い気道過敏性の高い患者においては全静脈麻酔から吸入麻酔管理への切り替えが推奨されるかもしれない。
 
コメント:
セボフルランは確かに人工心肺後の肺機能を改善したが、その効果は持続的なものなのか、長期的な効果についての検討が必要。
 

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