1. 2017/6/5 渕上先生担当

2017/6/5 渕上先生担当

最終更新日:2019年01月04日

抄読会

Inhaled Nitric Oxide (iNO) therapy and risk of renal dysfunction: a systematic review and meta-analysis of randomized trial

Ruan SY, Huang TM, Wu HD, et al.  Critical Care. 2015; 19: 137
 
【背景と目的】一酸化窒素吸入療法(iNO)はARDS患者の重症低酸素症への救命治療法の1つである。これまでの臨床研究からiNOの腎障害に関する懸念は報告されているが, 臨床上の意義は不明である。本研究は, これまで報告されたARDS患者を対象とした研究の一次データからiNOの腎障害リスクを検討した。
【方法】2007年1月1日~2015年3月31日を対象期間とし、3次医育機関病院においてベルリン定義でmoderate~Severe(P/F比<200mmHg)の成人ARDS患者で iNO非施行群と比較してiNO施行群の腎代替療法(HD、CHDF)移行リスクを検討した。ARDS発症前からの腎代替療法やECMO症例、ARDS発症3日以降のiNO導入例は除外された。
【結果】全対象 547例のうち, iNO使用 216例, 非使用 331例。平均年齢 63+/-17歳。ARDSの重症度では57.2%がModerate, 42.8%がSevere。ARDSの原因は肺炎77.7%, 肺炎以外の敗血症14.4%。iNO投与期間=4日,  iNO投与量=20ppm。主要評価項目では修正前ではiNO群 37%、対照群 21% (p<0.001)。年齢>65歳, 女性, 低Ccr, 非ショック, 低いSAPS Ⅱが要RRTのリスクとなる傾向を示したが統計学的には有意でなかった。各リスク因子を考慮した修正リスクではCrude hazard ratioは2.23 (95%CI 1.61-3.09, p<0.001)。多変量回帰Coxモデルでは2.17 (95%CI 1.48-3.20, p<0.001) 。Fine-Grayの競合リスク回帰-傾向スコアマッチングでは死亡による脱落を考慮したCox比例ハザードモデルでは1.76 (95%CI 1.19-2.60, p=0.005)。2次評価項目として30日間のRRT実施期間は累積でiNO群 34% : 対照群 23% (p<0.001)。傾向スコアマッチングでiNO群 151例, 対照群 151例とした30日死亡率は, 42% vs 43%。
【考察】本研究は単施設研究ではあるが、通常臨床でiNO非施行患者と比較してiNO施行患者の腎代替療法のリスクを比較した最初の研究。iNOでRRTのリスクが上がるし高齢(65歳<)でより高リスクとなる。この結果はこれまで報告されたRCTでの指摘を証明。iNOの腎毒性に関してその機序にはいくつかの可能性が指摘されるものの定まってはいないもののiNO中は, 腎機能モニタリングと腎毒性のある薬剤とiNOの併用に注意することを喚起している。