1. 2019/7/1 上江洲先生担当

2019/7/1 上江洲先生担当

最終更新日:2019年08月01日

抄読会

Comparison between the Effects of Sumatriptan Versus Naratriptan in the Treatment of Postdural Puncture Headache in Obstetric Patients: A Randomized Controlled Trial.
 
Anesth Essays Res. 2019 Apr-Jun;13(2):376-382. 

【背景】
硬膜穿刺後頭痛(PDPH)は産科麻酔での重要な医原性問題である。
PDPHは未治療で放置された場合でも1週間以内に約75%が、6週間で約85%が自然寛解するといわれている。症状が重い場合は安静、仰臥位、補液、少量の下剤、NSAIDSやカフェイン等を使用しての早期治療が推奨されている。トリプタンは偏頭痛に対して最も効果的な治療薬で、以前から使用されているスマトリプタンはPDPHに対して十分な症状改善の報告も認めていた。
過去の文献上では術後PDPHの管理や、(PDPHに対しての)2種類のトリプタンの有効性の比較が行われていない。本研究はPDPHの管理において第2世代ナラトリプタンの有効性を、スマトリプタンの有効性と比較した。
【方法】
脊椎麻酔下(25G穿刺針施行)で帝王切開を受け、術後2〜3日目にPDPHを訴えた18〜35歳までの被験者189名を研究対象とした。
全ての被験者は3日間は入院、安静指示、リンゲル液投与、ジクロフェナク50mg 1日3回投与され、投与されたトリプタンの種類別に各々C(コントロール)・S(スマトリプタン)・N(ナラトリプタン)群に分割された。疼痛の強度は内服後6・12・24・48時間後に問診を行い、visual analog pain scale(VAS)で評価された。
 
【結果】
S(スマトリプタン)群では内服後6・12・24・48時間後で55.6%→86.2%→88.9%→92.1%まで頭痛が改善。N(ナラトリプタン)群では内服後6・12・24・48時間後で30.2%→49.2%→76.2%→87.3%まで頭痛が改善。いずれの群もコントロール群と比較して頭痛の改善率が高く、内服後6・12間後においてはS群・N群との間でも統計学的に有意差を認めた。内服後24・48時間後においては、S群とN群の間で統計学的に有意差を認めなかった。
 
 
【結論】
偏頭痛治療薬のナラトリプタンは支持療法と組み合わせることで、分娩患者の硬膜穿刺後頭痛(PDPH)の軽減・緩和に有効。その効果はスマトリプタンとほぼ同等で、72時間に渡って十分な鎮痛効果を示すことが明らかとなった。
 

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