臨床・教育・研究が三本柱とした琉球大学大学院医学研究科麻酔科学講座。
当院集中治療部では、麻酔科専門医を取得した3名の専従医が主治医と共同して日中の全身管理を行い、休日夜間も麻酔専門医1人を含む2人の麻酔科医が宿直して24時間体制の集中治療を実施しています。2010年には8ベッドに増床し、2015年度の年間症例数は426例です。
平成26年の診療報酬改定で新たに定められた『特定集中治療管理料1』を認められました。 この『特定集中治療管理料1』では、従来の2:1看護体制や医師の常駐に加えて、常駐医師の8:1以上の配置や専門研修の義務化、臨床工学技士の24時間常駐体制、重症度を基にしたベッド運用の厳密化、1ベッドあたり20㎡以上のスペース確保などより質の高い集中ケアを行う体制が整備・実践されています。
現場では、重症認定看護師や呼吸療法士の資格をもった看護師とともに高度なモニタリングシステムを基盤に、緻密な集中治療・看護を実践しています。 当ICUの特徴として循環器系では植え込み型左室補助人工心臓(LVAD)や経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)など新しい循環器治療の術前術後管理を行うほか、理学療法室と連携して急性期リハビリテーションを展開しています。呼吸不全では多様な最先端の人工呼吸器を駆使し病態に適した人工呼吸を行ない、非常に低い再挿管率に裏打ちされた安全な呼吸管理を行っています。
また急激に進展する腎障害や肝障害、重症敗血症などに対しては、の急性血液浄化学会認定施設として様々なモダリティー(緩徐持続式血液ろ過透析、エンドトキシン吸着、顆粒球除去、リンパ球除去、血漿交換やPlasma Dialysis with Filtration等)を駆使した急性血液浄化療法を、高い技術をもつ臨床工学技士と協働して実施しています。
本院は大学病院であり、各診療科は患者さんにとって最後の砦です。私たちも各科をサポートすべく連携を密にし、高い専門性を維持するためにハード面、ソフト面の両面の充実に今後も努力しています。
以上から当麻酔科・集中治療部は、若い麻酔科専門医を志す医師の皆さんにとっては、術中管理にとどまらない麻酔診療の広がりを十分実感し充実した研修を行える施設であるとも自負しています。
我々は、常に高いレベルの治療を提供するため、以下に示す事柄を中心におこなっています。
当科ではICUでの研修のため、独自の研修マニュアルを作成しています。マニュアルの他にミニレクチャーも用意しており、研修の合間の短い時間を利用して効果的に学習できるように配慮しています。麻酔科後期研修におけるICU専従での研修期間は、約2カ月と短いですが、麻酔科専門医取得をめざす後期研修医にとって多くの有益な知識と技術を習得できると考えています。また、院内外の初期研修医の研修教育にも積極的に門戸を開いています。