最終更新日:2017年01月13日
抄読会
Early Physical Therapy vs Usual Care in Patients With Recent-Onset Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial.
Fritz JM, Magel JS, McFadden M, Asche C, Thackeray A, Meier W, Brennan G.
JAMA. 2015 Oct 13;314(14):1459-67. doi: 10.1001/jama.2015.11648.
《はじめに》
米国における腰痛の生涯有病率は約70%と報告されている。成人の25%は3か月以内に1日以上続く腰痛を経験し、腰痛を主訴に受診する患者は2~5%に及ぶ。ガイドラインでは、理学療法や専門医への紹介は数週後と推奨されている。
《目的》
早期に腰痛を発症した人に対して、早期の理学療法やマニピュレーションが障害を改善する上で、通常のケアと比較して有効かどうかを評価した。
《研究デザイン、セッティング、被験者》
220名の被験者を対象としたランダム化臨床研究で、2011年3月~2013年11月、直近6ヶ月間に腰痛治療を行ってない、18歳から60歳、Oswestry Disability Index (ODI)スコア 20以上、発症から16日未満、72時間内の膝より遠位に症状を伴わない患者が登録された。
《介入》
被験者全員が腰痛の教育を受ける。早期理学療法(n=108)は、4つの理学療法セッションを行い、通常ケア (n = 112)は、初めからの4週間は介入を行わない。
《主要評価項目・測定項目》
主要評価は、3ヶ月でのODIスコア変化
二次評価項目は、4週後、1年後ODIスコア、疼痛強度の変化
4週、3ヶ月、1年フォローアップ後の、Pain Catastrophizing Scale (PCS) スコア、 fear-avoidance belief、 quality of life、 patient-reported success、 health care utilization
《結果》
1年フォローアップ完遂は207名(94.1%)であった。
早期理学療法によって、3カ月後の機能障害は通常のケアより相対的改善を示した。
4週間後のODIスコアで有意差はみられたが、1年後の時点で有意差はなかった。
4週間、3ヶ月、1年での疼痛強度に群間差はみられなかった。
PCSスコアは、4週、3ヶ月で改善するも、1年後の時点で改善はなかった。
《結論》
急性腰痛において、早期理学療法は機能障害に対して統計学的に有意な改善を認めたが、この改善は軽度で、通常ケアに比べ、最小の臨床的に重要な差を満たさなかった。