1. 1月16日 波照間先生担当

1月16日 波照間先生担当

最終更新日:2017年02月11日

抄読会

Postoperative Oxygen Therapy in Patients with Obstructive Sleep Apnea: A Randomized Controlled Trial.
Pu Liao, MD Jean Wong, MD Mandeep Singh, MBBS David T. Wong, at el.
CHEST (2017), doi: 10.1016/j.chest.2016.12.005.
 
【はじめに】
閉塞性無呼吸(OSA)を有する患者は、周術期合併症のリスクが増加すると言われる。術後酸素投与は一般的に行われている処置であるが、麻薬が投与されたOSA患者の呼吸抑制を助長する可能性がある。本研究は、酸素飽和度、睡眠時呼吸イベント、二酸化炭素濃度に対する酸素投与の影響を調べることを目的としている。
【方法】
無呼吸低換気係数(AHI)が1時間に5回以上の患者を対象に、酸素投与群と酸素無投与(コントロール)へ1:1無作為割り振りを行った。酸素投与群へは術後3夜間、経鼻酸素3L/分の酸素投与を行った。1次アウトカムはポリソムノグラフで測定されたSaO2、睡眠時呼吸イベント、経皮二酸化炭素(PtcCO2)の術後3夜間の値とした。Intension-to-treat解析とPer-protocol解析を行った。
【結果】
123例が無作為化され、酸素群62例、コントロール群61例であった。3日目夜における、酸素群vs. コントロール群の結果は以下の通り。平均SaO2:95.2±3% vs. 91.4±4%(p<0.001)、lower oxygen desaturation index:2.3(0.2,13.8) vs. 18.5(8.2,45.9) events/h [median(25th,75th percentile), p<0.0001]、AHI:8.0(2.1,19.9) vs. 15.6(9.5,45.8)(p=0.016)。hypopnea index(p<0.001)、central apnea index(p=0.026)、longest apnea-hypopnea duration(p=0.002)とそれぞれが酸素投与群で有意差をもって改善した。また、術後3夜間においてPtcCO2-CT55≧10 % となる症例が11.4%に認められたが、2群間でのPtcCO2に差は見られなかった。
【結語】
術後酸素投与は、酸素化の改善と、二酸化炭素上昇を伴わないAHI減少の効果を認めた。少数例では酸素投与中の著名なCO2貯留が発現した。
 
【本論文読了後の私見】
・酸素投与によるAHI減少の効果について
本文で示されたAHI減少のほぼ全てを、Hypopnea Indexの改善が占めている。ここで述べられたHypopnea Indexとは、SaO2の3%減少を伴うことが条件であり、酸素投与が行われた結果SaO2が低下しなくなったという単純な事象を反映している可能性がある。酸素投与を行ったところ、呼吸流量が低下しなくなったと捉えるのは安直だろう。
 
・2群間でCO2貯留の有意差を認めない件に関して
他の研究では、OSA患者に酸素投与を行うとCO2貯留が起こったという報告も多い。本研究の患者背景の特殊性に、HCO3->30 mmHgの患者を除外していること、COPD合併率が全体の3%であることが挙げられる。どの程度影響しているかは未知数。
 

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