最終更新日:2017年07月04日
抄読会
Long-term Effects of Remote Ischemic Preconditioning on Kidney Function in High-risk Cardiac Surgery Patients
(Anesthesiology 2017; 126:787-98)
【背景】以前にCleveland Clinic Foundation scoreで6点以上をAKI高リスク患者として遠隔虚血プレコンディショニング(RIPC)の多施設ランダム化比較試験を行った。240名をコントロール群とRIPC群に1:1に割り付け、心臓手術後のAKIリスクが減少することが証明された。今回はその研究の90日時点でのRIPCの効果を報告する。
【方法】今回のRenalRIP trialのフォローアップ研究では、90日時点での死亡・腎代替療法・残存する腎機能障害の複合エンドポイントをプライマリアウトカムとしてRIPCの効果を評価した。
【結果】プライマリアウトカムはRIPC群14.2%、コントロール群25% (95% CI, 0.9 - 20.8%; P = 0.034)でRIPCは有意に90日時点での腎機能を改善させた。術後腎機能障害を発症した患者のうち、RIPC群 2 /38名、コントロール群 13 /56名が90日時点で腎機能が回復していなかった(95% CI, 4.8 - 31.1%; P = 0.020)。
【結論】心臓術後の死亡・腎代替療法・残存する腎機能障害の複合エンドポイントの90日時点での発症率はRIPCによって著しく改善する。またRIPCによってAKIから回復しやすくなる。