Low-Dose Versus High-Dose Tranexamic Acid Reduces the Risk of Nonischemic Seizures After Cardiac Surgery With Cardiopulmonary Bypass
表題:低容量群トラネキサム酸使用は高容量群に比べ人工心肺使用心臓手術後の非虚血性痙攣を減少させる
Couture P, et al. J Cardiothorac Vasc Anesth. 2017 ;31:1611-1617.
目的:トラネキサム酸使用関連術後非虚血性痙攣の頻度と低容量使用による予防効果の可能性を評価
設定:遡及的研究
施設:三次大学病院
参加者:人工心肺使用心臓手術を受けた全
12195人を評価
介入:2006年4月-2014年4月外科ICUで痙攣と診断された患者を調査。虚血性病変を除外するために頭部CTを撮影した術後痙攣患者。抗線溶薬の種類と量、手術の特徴を人工心肺記録から検索。
低容量群:1000mg+400mg/h+500mg人工心肺充填
高容量群:30mg/kg+15mg/kg/h+2mg/kg人工心肺充填
結果:抗線溶薬非投与群は886人非痙攣であった。ICUで合計98人(0.8%)が痙攣あり後にCTで虚血が原因である患者は除外した(91人93%)。低容量トラネキサム酸使用群が高容量群に比べ痙攣頻度低下と関連した(46/7452[0.70%]vs34/2190[1.55%])。心臓内手術が血行再建手術に比べ痙攣が多かった(80/6662[1.20%]vs11/5533[0.20%])
結論:低容量群トラネキサム酸使用は高容量群に比べ非虚血性痙攣頻度低下と関連する
*補足:
- 心臓手術患者の致死率を減らす非外科的戦略として11項目挙げられる
- 1.アスピリン2.血糖管理3.症例の多い外科医4.予防的なIABP5.レボシメンダン6.白血球除去赤血球輸血7.非侵襲的換気8.トラネキサム酸9.VAC(Vacuum-Assisted Closure)10.揮発性麻酔薬→改善
- 11.アプロチニン→悪化
- 半減期2時間/90%24時間以内尿中排泄
- 日本麻酔科学会ガイドライン推奨(心臓外科手術)では
- ①10mg/kg+2mg/kg/hr+50mgCPB
- ②10-15mg/kg+1-1.5mg/kg/hr+2-2.5mg/kgCPB
と本研究より少ない量を推奨している
- 副作用:血栓症、痙攣(GABA抑制作用)、アナフィラキシー、眼症状、尿管閉塞
- 注意:腎障害、SAH、避妊薬服用