最終更新日:2017年08月23日
抄読会
Factors associated with the presence of postoperative headache in elective surgery patients: a prospective single center cohort study.
J Anesth. 2017 Apr;31(2):225-236.
頭痛は術後の鎮痛薬の量を増やし、患者満足度に影響し、退院を遅らせさえする。本研究で著者らは、予定手術患者における術後の頭痛の頻度と、術後の頭痛の発生と様々な因子との関連を調べた。
倫理委員会の承認を受け、整形外科、婦人科、耳鼻科、血管外科で予定手術を受ける18歳以上の患者を対象とした。
麻酔方法は担当麻酔科医に一任。麻酔方法(全身麻酔、区域麻酔、その組み合わせ)、使用した麻酔薬、手術術式と手術時間、手術体位、術中の有害事象(低血圧、高血圧、高二酸化炭素、低酸素)を記録した。
術後の頭痛は一日2回、最大5日間インタビューを行い2択の選択肢で判断。頭痛に対する鎮痛薬の使用量も記録した。
494人中、フォローアップ出来た446人(90.3%)について解析。
術後の頭痛は126人(28.3%)に起こった。術前の頭痛の既往がある人は89人(41%)、術前の頭痛の既往がない人は37人(16.2%)であった。
片頭痛の既往のある94人のうち35人(37.2%)で術後の頭痛が起こった。
偶発的硬膜穿刺をした9人と脊椎麻酔をした2人は頭痛が起こらなかった。
単変量解析では、女性、30-50歳、頭痛の家族歴または既往歴、カフェイン摂取、硬膜外麻酔の併用、麻薬とセボフルランの使用、術中低血圧と術中低酸素、小手術が頭痛の発生との関連を示した。
全被験者を対象とした多変量解析では、女性、セボフルラン投与、術中低血圧、喫煙がそれぞれ独立して術後の頭痛の発生と関連していた。
頭痛の既往のない人では、女性、術中低血圧とカフェイン摂取が術後の頭痛の発生と関連していた。
頭痛の既往のない人では、セボフルラン投与された患者は他の麻酔薬を投与された患者にくらべ4.26倍頭痛発生の可能性が高かった。