1. 2019/2/4 大城先生担当

2019/2/4 大城先生担当

最終更新日:2019年02月05日

抄読会

Effect of Cricoid Pressure Compared With a Sham Procedure in the Rapid Sequence Induction of Anesthesia
The IRIS Randomized Clinical Trial
Aurélie Birenbaum, MD; et al         JAMA Surg. 2019;154:9-17

背景:緊急挿管時の胃内容物の逆流・誤嚥を防ぐために輪状軟骨押下(セリック手技)が用いられることがあるが、その有効性に関するエビデンスは乏しい.著者らはフランスの10の教育医療センターにおいて,迅速導入を受ける患者(妊婦・18歳未満は除く)をセリック手技下あるいは非セリック手技下での挿管のいずれかに割り付けるランダム化非劣性試験IRISを実施(n=3,472),その有効性を検証した.

結果:主要評価項目である誤嚥の発生率はセリック手技群で0.6%、非セリック手技群で0.5%であり有意差はなかった.相対リスク上限(2.00)は事前指定された非劣性上限(1.50)を超え,非セリック手技群の非劣性は示されなかった.セリック手技群では喉頭視野不良(Cormack-Lehaneグレード3・4)が多く(10% vs. 5%),挿管時間も長かった(47% vs. 40%)が,肺炎・滞在日数・死亡率などの二次評価項目には群間差はなかった.

考察:迅速導入時の輪状軟骨押下の必要性を評価した初めての大規模比較試験.両群間で誤嚥の発生率に差はなく,輪状軟骨押下により喉頭展開時の視野不良や挿管時間が延長することが認められたが,輪状軟骨を押し下げない事の非劣性は示されておらず,妊婦・小児や手術室外での挿管については評価されていない.

結論:「迅速導入時に輪状軟骨押下をしない事は,押し下げる事と比較しても誤嚥防止には劣らない」ことは示されなかった.

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