1. 2019/1/7 福島先生担当

2019/1/7 福島先生担当

最終更新日:2019年02月05日

抄読会

Influence of Nasal Tip Lifting on the Incidence of the Tracheal Tube Pathway Passing Through the Nostril During Nasotracheal Intubation: A Randomized Controlled Trial
 
Hyerim Kim, MD, Jung-Man Lee, MD, PhD, Jiwon Lee, MD, PhD,† Jin-Young Hwang, MD, PhD, et al. Anesthesia and Analgesia;2018:127:1421-1426
 
<背景>
中鼻甲介損傷のない安全な経鼻気管挿管には、気管チューブがより低い経路を通る必要があり、それは下鼻甲介の下でかつ、鼻腔底の直上である。この研究の目的として、経鼻気管挿管において彎曲のついた経鼻Ring-Adair-Elwyn(RAE)チューブが低い経路を通る頻度におよぼす鼻尖挙上の影響を評価した。
 
<方法>
患者を無作為に、『鼻尖挙上群』か『中立群』に割りつけた。
鼻尖挙上群の患者では、研究者が鼻尖を頭側方向へ引き上げて、麻酔導入後に彎曲のついた経鼻RAEチューブを鼻腔へ挿入した。
中立群の患者では、チューブ挿入は鼻尖が中立位でおこなわれた。
それぞれの患者でチューブが通る経路をファイバースコープで同定した。チューブが低い経路を通る頻度を2群間で比較した。鼻出血の頻度も評価した。
 
<結果>
86人の患者が研究に参加し、研究プロトコルを完遂した。
気管チューブが低い経路を通る頻度は中立群(51.2%)よりも鼻尖挙上群(79.1)で有意に高かった(相対リスク、1.55;95%信頼区間、1.11〜2.15;P= .007)。
鼻出血の頻度は群間で差はなかった(18.6% vs 32.6%;P= .138)が、より上の経路(46.7%)よりも、より低い経路(14.3%)の鼻腔を気管チューブが通った場合に鼻出血の頻度は低く、これは交絡変数で調整した無作為化された群でも同様であった(オッズ比、0.19;95%信頼区間、0.07〜0.54;P= .002)。
 
<考察>
経鼻挿管には常に鼻出血のリスクがあり、これまで多くの安全な経鼻挿管の方法が考えられてきた。鼻腔内には、気管チューブが通過できる経路が主に2つある。上方経路は中鼻甲介と下鼻甲介の間、下方経路は下鼻甲介の下かつ鼻腔底の直上になる。上の経路を通って気管チューブを進めることは中鼻甲介損傷の可能性を伴う。そのために、経鼻気管内挿管時にはより低い経路が好まれる。しかしながら、経鼻気管内挿管の気管チューブ固定のための最適な方法はあまり調査されていなかった。
経鼻挿管で経鼻RAEチューブが使われるとき鼻尖挙上により安全な下方経路を気管チューブが通る確率が上がること、また、挿管チューブが下方経路を通るとき鼻出血の頻度が下がることが、今回の研究で示された。
 
<結論>
鼻尖挙上手技は、経鼻気管挿管において彎曲のついた経鼻RAEチューブを低い経路へガイドするのに役だった。
 
 

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