1. 11月19日 和泉先生担当

11月19日 和泉先生担当

最終更新日:2018年11月22日

抄読会

Degree of obesity is not associated with more than one intubation attempt: a large centre experience.
Saasouh W, Laffey K, Turan A, Avitsian R, Zura A, You J, Zimmerman NM, Szarpak L, Sessler DI, Ruetzler K.
Br J Anaesth. 2018 May;120(5):1110-1116. doi: 10.1016/j.bja.2018.01.019. Epub 2018 Mar 21.
PMID:29661388
 
 
肥満が気管挿管を難しくするかははっきりとしていない
仮説
肥満患者で、BMIと2回以上の気管挿管の試み(挿管困難と定義)には相関がある
 
 
研究方法
クリーブランドクリニックIRBの承認
後方視的コホート研究
対象:非心臓手術
麻酔法:全身麻酔+α
期間:2011-2015
記録:電子カルテ
データ:患者背景、術前気道評価、予期しない気道困難、挿管に要した回数
 
項目
BMIと気管内挿管困難(挿管に2回以上の試み)の関係
単変量ロジステッィク解析
BMI 30で区切って
多変量ロジステッィク解析
各モデルで年齢、性別、ASAのPS、マランパチscore、明らかな気道の異常、短頚、開口制限、髭、リウマチ、糖尿病、頚部脊椎手術、手術の種類、手術の年で調整された
BMIと気管内挿管困難(挿管に2回以上の試み)の関係
喉頭鏡とビデオ喉頭鏡
気道の異常の有無
 
 
結果
対象:140,150の非心臓手術、気管内挿管をした全身麻酔、2011/1/1-2015/9/30
除外:4,271 挿管器具が不明、5,864 ファイバー挿管、21,107 喉頭鏡の不使用、968 喉頭鏡とビデオ喉頭鏡使用、17,685 挿管回数不明、2,351 BMI不明3,106 データ不明・心臓手術
除外:170,096の複数回手術
対象:67,702症例 (患者の初回手術)
 
  • 挿管に使用した器具67,702 
 61,010(90%)喉頭鏡、6,692(10%)ビデオ喉頭鏡
  • 挿管に2回以上の試み6055(9%)
 4,420(73%)喉頭鏡、1,635(27%)ビデオ喉頭鏡
  • 各デバイスでの挿管困難
 24%(1,635/6,692)ビデオ喉頭鏡、7.2%(4,420/61,010)喉頭鏡
  • BMI
 BMI<30 40,183、BMI≧30 27,519
 
BMIの増加による挿管困難のオッズ比がBMI<30で増加
BMI30以上で挿管困難は30未満より高いが、
BMIの増加による挿管困難のオッズ比はBMI≧30で変化なし
事後解析ではBMI30以上で挿管困難はOR1.10(1.05 1.17)
 
考察
大規模後方視的コホート研究によってBMI30まで、挿管困難の確立が直線的に増加しその後は一定であることが明らかになった
肥満患者は痩せ患者より挿管困難の可能性が高いが、病的肥満患者(BMI40以上)が肥満患者より挿管困難の確立が高い訳ではない
BMI30から肥満で、気道の異常は肥満患者で多かった(12% vs 30%)
最近の研究やメタアナリシスではBMIの増加が挿管困難の独立した危険因子という報告があるが我々の知見とは異なる
メタアナリシスでは35の研究と計50760人を含み肥満患者は痩せ患者の3倍挿管困難であったと報告している(16% vs 6%)
91332人を対象とした研究では挿管困難は5.2%でBMI35 以上と挿管困難に関連があった
意識下挿管は気道確保困難患者で容認された方法で、いくつかのガイドラインやエキスパートはBMI30-35を超えたら挿管困難のハイリスクなので、明らかな困難気道でなくても意識下挿管を考慮してよいと主張している
我々は意識下挿管をBMIではなく気道評価で決定することを推奨する。しかしBMIの増加がマスク換気を困難にすることに疑問はなく過小評価すべきでない。
誰が気管挿管を試みたかの記録はなく評価できていない。(指導医か研修医か)
挿管困難での確かな記録も提供できていない。(麻酔担当が変わったか、挿管器具を変更したか、体位を取り直したか)
我々は挿管困難を2回以上の挿管の試みと定義した
挿管試行回数は臨床的に重要で患者合併症に関連するかもしれない。
他の研究は困難気道の評価を正門の見え方のCormac分類などで行っている。
しかし評価法を変えても我々の、肥満の程度は挿管困難を予測するのに不十分という研究結果を変えると思えない
Ramped positionが肥満患者で喉頭鏡視野を改善する。我々の施設では肥満患者はRamped positionを取るようにしている
 
Limitation
BMI30以上でビデオ喉頭鏡の使用が多い14% vs 7%(BMI30以下) セレクションバイアス
後方視研究のため、データがなく、例えば首の周径やCormac分類が使えない
データ欠損のため17%の患者が研究から除外
この研究は挿管回数に焦点を当てている。気道確保中のSpO2の低下や誤嚥などを意識していないといけない。