1. 2018/12/10 桃原先生担当

2018/12/10 桃原先生担当

最終更新日:2019年02月03日

抄読会

Is Tube Thermosofening Helpful for Videolaryngoscope-Guided Nasotracheal Intubation?:A Randomized Controlled Trial.
ビデオ喉頭鏡ガイド下経鼻気管挿管で、熱軟化したチューブは有用か?:無作為化試験
Kim EM, Chung MH, Lee MH, et al
Anesth Analg. 2018 Sep 24. doi: 10.1213/ANE.0000000000003822. [Epub ahead of print]
 
【背景と目的】
経鼻気管挿管(NTI)中の鼻出血を減少させる方法として、気管チューブ(ETT)の熱軟化とゴムカテーテルへの気管チューブのはめ込みが提案されている。またカフ膨張法(気管チューブのカフを10-15mlの空気で膨張させる)は、直接喉頭鏡ガイド下 の経鼻気管挿管中に、その剛性にかかわらず、気管チューブの口腔咽頭誘導を改善する際に、マギル鉗子の有効な代替手段として提案されている。この論文の著者は、ゴムカテーテルにはめ込んだ気管チューブの熱軟化が、鼻粘膜損傷を減少させるのにさらなる利点を有するかどうかを評価しており、また同時に、カフ膨張を併用したビデオ喉頭鏡ガイド下経鼻気管挿管中に、気管チューブの熱軟化が口咽頭誘導性を悪化させるかどうかを評価した。
【方法】
気管チューブが加温によって軟化されたかどうかに応じて、140人の患者を無作為に2群のうちの1群に割り当てた。鼻の変形、出血傾向、再発性鼻出血、閉塞性睡眠時無呼吸の病歴、鼻咽頭手術の既往がある患者は除外している。熱軟化群は挿管の30分前に気管チューブを45℃で保温した。主要評価項目は、経鼻気管挿管中の鼻出血の発生率、鼻出血の程度で、副次評価項目は、気管チューブの鼻口腔誘導性としている。気管チューブの各段階(鼻から口咽頭、口咽頭から声門入口部、声門入口部から気管)において、誘導グレードと気管チューブの挿入に要した時間で評価した。誘導グレードは、抵抗なくスムーズに入った場合をグレード1、チューブの先端が声門の粘膜に接触し回転させ気管に入った場合をグレード2、マギール鉗子を使用した場合をグレード3とした。術後リカバリールームにて、術後の鼻内合併症(鼻痛、持続性出血、鼻閉塞、および分泌物)を評価した。
【結果】
気管チューブ の挿入は、140人の全患者で選択した鼻孔を通して成功した。熱軟化群では、対照群と比較して、7%と鼻出血の発生率は有意に低く、また重症度が対象群と比較し大きな差はなく、両群ともに重度の鼻出血は認めなかった。気管チューブは、熱軟化群ではグレード1が92.9%と対象群と比較し鼻腔を低い抵抗で、そして、短い時間で(P<0.001)通過した。2 群間で、誘導グレードと所要時間は、口腔咽頭から声門入口部まで(それぞれ P>0.99とP=0.054)、声門入口部から気管まで(それぞれ P>0.99 と P=0.750)であまり大きな差がなかった。両群において、全てMagill 鉗子を使用せずにチューブを気管内に誘導することができた。また術後の鼻内合併症(鼻痛、持続性出血、鼻閉塞、分泌物)は両群間で大きな差はなかった。
【考察】
鼻出血はNTIの最も多い合併症であり、喉頭の視界を妨げることによりしばしば挿管をより困難にする。ゴムカテーテルへのETTのはめ込みにより、特に小児のNTIにおける重度の鼻出血のリスクを減少させることが報告されているが、熱軟化を加えていないETTを使用した場合、鼻出血の頻度は高く(51%)、また38%の患者において鼻腔を通過する際に抵抗を生じた。ゴムカテーテルへのETTのはめ込みと熱軟化法を組み合わせることにより、NTIにおける鼻出血の比率は著明に減少した。一方、熱軟化法はチューブが軟化することで口咽頭誘導性を悪化させ、NTI 中にマギル鉗子を使用せずに気管内に ETT を誘導することを困難にすることが知られている。ビデオ喉頭鏡の使用により喉頭蓋の挙上を最小限に抑え、また喉頭展開時の後屈を抑えることでETTと声門入口との不整列を減少させ、またカフ膨張法を併用することにより、口咽頭誘導性が改善されたと考えられる。
研究上の制限としては、すべての症例は一人の熟練した麻酔科医がNTIを行い、また挿管困難が予想されない正常な気道を有する健康な大人のみに施行していること、ガイドとして使用するゴムカテーテルの咽頭への配置に時間を要しており、その時間によりチューブの軟化の程度がすべて一定とはいい難いことが挙げられる。よってゴムカテーテルを使用しない場合は結果が多少異なる可能性があること、ゴムカテーテルを使用しているため、ラテックスアレルギーが疑われる患者は選定できず、またカテーテルを回収する際に鉗子による咽頭外傷のリスクがあることが挙げられる。
【まとめ】
経鼻気管挿管において、ゴムカテーテルにはめ込んだ気管チューブの熱軟化とビデオ喉頭鏡を使用した挿管が、挿管チューブの口咽頭誘導性を悪化させることなく、鼻出血の発生を有意に減少させるため大きな利点がある。
 

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